ピン


年末ドタバタと引越しをした関係で、CDやレコード類がいっこうに片付いていない。
でかいレコード棚を処分してしまったせいもあるが、しばらく聴いていなかった盤などとちょっと目が合うと、妙に気になって聴いてしまうという抗えない現実のせいもある。

アーネスト・ラングリンとアルセニオ・ロドリゲスとアンソニー・ブラクストン(全員「ア」だ)あたりが再ヒットで繰り返し聴いていたが、ba da bing!recordsのコンピレ"follow the bouncing ball"もかなりグッときた。なんか以前も書いた気がするが、昔とてもよく聴いたスペントてうバンドの1曲がやっぱり素晴らしいです。

ジャケットの絵もしばらく眺めていたら、ふとあることを思い出した。
それはもう10年近く前、I川という町のD門通り商店街てうところでアルバイトをしていたのだが、そこで何度か目撃した人物。
ボウリングピン人だ。

そのピン人は自転車に乗って、いつも向こうからやってきた。
まっすぐ一直線に伸びる商店街の向こうから、ボウリングのピンが近づいてくる。
それは、かなり大きなボウリングピンの被り物?を頭に被った男性だった。あまりにピンの印象が強く顔はよく覚えていないが、結構若くて、颯爽としていて、そしていつも真顔だったと思う。だから罰ゲームみたいな雰囲気でもなく、ボウリング場の宣伝とかでもなく(そもそもそんなものは無かった)、もしかしてヘルメットの代わりなのかな?と思ったりもした。自転車から降りる時に脱ぐのだろうか。それはどこかにしまって歩くのだろうか。家に予備はあるのかどれくらいの重さなのか肩は凝らないのかどこで買ったのか値段はいくらなのか。ちょっと自分も欲しくなってきている気がしてそれも怖かった。
一度話しかけてみようとしたことがあったが、出来なかった。多分なんて声をかけていいものかわからなかったんだろう。
もうあの町を離れて久しいが、まだご健在であればぜひまたお会いしたいと思う。
さいとうはんにこの話したことあったっけ?なんか知ってたら教えてください。

嗚呼またいらぬ話。